第6章 夏の終わり
その晩、晩飯くらいまでは楽だったんだけど、また夜になって熱が出てきた。
だから、薬を飲んで座敷で横になってた。
明日休みだから今日は隣で寝ようか?って翔にいが言ってくれたんだけど…
熱のせいか、翔にいにうつしてしまうかもってすっかり失念してて。
うつしたくなかったから、なるべく翔にいを遠ざけてた。
熱のせいで耳鳴りみたいなのまでしてくる。
解熱剤飲んでるんだけどな…
外で鳴いてるはずの虫の声もよく聞こえないくらいだった。
ウトウトしては目が覚め。
枕元に翔にいが用意してくれた水を飲んではまた寝て。
だいぶ体が楽になってきたのは、朝方だった。
ボウボウと鳴く鳥の声が聞こえた。
あれは確かキジバトとかいうやつだ。
翔にいに教えて貰った。
そんなことを考えながら、ぼんやりと天井を見てた。
暫くすると、外が薄明るくなってるのを感じた。
「もう、朝か…」
枕元に置いてるスマホで時間を確認しようとしたけど、充電が切れてた。
そういや、寝込んでから充電してなかったな…
もともと寝ていた部屋に充電器を置いてたから、取りに行こう。
そっと布団から起き上がってみたら、思ったよりも体が軽い。
でもまだ関節なんかは熱を持っててだるいから、無理しちゃだめだな…
なんて思いながらそろりと座敷を出た。