第6章 夏の終わり
相葉先生が出ていくと、翔にいはため息をつきながらベッドの横の椅子に座った。
「和也…」
俺が目を開けてるのを見て、少しびっくりした顔をした。
「うるさくしてごめんな。あいつ幼馴染だから遠慮なくて…」
そう言ってたら、さっきの看護師のおばさんが入ってきた。
「翔くん。雅紀が翔くんを診察するってきかないのよ…ちょっと来てくれる?」
「いや、俺なんともないし…」
「でも、その痩せ方…ちょっとおばさんも気になるから、ね?」
「いいです。本当に」
「雅紀は息子としてはぼんくらだけど、医師としての腕は確かなのよ。いいから、いらっしゃい」
「おばさん…本当にいいから…」
「もー!あんたになにかあったら陽子さんに申し訳が立たないのよ!」
陽子さんって…亡くなった翔にいのお母さんだ。
「そんなの…おふくろ気にしませんから…」
「いいからいらっしゃい!」
相葉先生のお母さんなのかな…
翔にいは抵抗してたけど、最後には説き伏せられて渋々処置室を出ていった。
しばらく待ってたけど、点滴が効いてきたのか、体が楽になってきて…
瞼が閉じてしまって、いつの間にか寝てしまったようだった。
…やっぱり、翔にいの痩せ方、変なんだ…