第6章 夏の終わり
「熱…高いな…」
もう声も出ないし、体も関節がミシミシ言ってるみたいに痛い。
「午後、仕事休めたから、病院行こうな…?」
そう言って額から手を外した。
「食欲あるか?」
もうなんだかよくわからないから、首を横に振った。
多分腹は減ってない。
「わかった…でも水分摂ろうな…」
そういって、吸い飲みに入ってる水を飲ませてくれた。
それから少しウトウトして。
目が覚めたら、あの人が布団の横で正座してた。
少しびっくりしたけど、俺のこと心配してるような顔してたから、熱のせいもあって警戒心がなくなって。
無遠慮に見ていると、少し恥ずかしそうな顔をして…
俺の額に手を置いてくれた。
やっぱり、その手は冷たくて気持ちよかった。
「和也、病院行くぞ」
またウトウトしてたら、翔にいが座敷に入ってきた。
俺のこと横抱きにすると、車まで運んでくれた。
「ちょっと我慢してろよ…」
車の中は灼熱になってて、エアコンが効くまで汗まみれになった。
助手席で死にそうになってたら、翔にいがタオルで顔の汗を拭いてくれて。
なんだか嬉しいような。
照れくさいような。
熱で体が痛くて苦しいのに、変な感じだった。