第6章 夏の終わり
虫の…鳴く声…
短い命を燃やして
誰かを求め続けて鳴いてる
…あいつら、どこで死ぬんだろ
あれから、夜になると
翔にいは人が変わったみたいになる
まるで女みたいに足を開いて
俺を誘ってくる
でも、朝になるとまた翔にいに戻って
何もなかったみたいに、いつも通り
仕事に行って、帰ってくる
晩飯を食べて
風呂に入って上がってくると
別人みたいになる
甘い匂いを纏って…
むせ返るほどの甘い匂い
溺れる…
今日が、何日か…
いつなのか…わからなくなってた
「…翔にい…」
布団を敷いた座敷に、翔にいが入ってくる。
「和也、平気か?」
起き上がれない俺のために、トレイに食事を乗っけて持ってきてくれる。
「…翔にい…」
「なんだよ…そんな声出すなよ…寂しいのか?」
何日か雨が続いて…
やっと晴れたかと思ったら、急に気温が下がった。
セックスの終わったあと裸のままで寝てたら、俺だけ風邪を引いてしまった。
「…寂しい…」
熱があるからか、思わずガキみたいなこと言ってしまった。
「ぶ…かわいいじゃん…」
「はあ?」
笑われて、ぶすっとしてしまった。