第3章 デートをしよう
城の中を一緒に歩くことは珍しくない
たが、ちゃんと着飾って腕を組んで歩くのは初めてだ
「ユーリ。俺ばかり見ていないでちゃんと前を見るんだ。転んだら危ないだろ」
「はっ。す、すみません…」
無意識にじっと見てしまっていた
恋は盲目とはよく言ったものだ
油断するとシヴァばかり気になって、他の事なんて何も目に入らなくなるのだから
改めて城内を見渡すと、多くの人がこちらを見ている事に気づく
声をかけてくる事はないが、何かを話しているようだった
しかも何故かシヴァは第一部隊が集まる部屋へと赴き、午後はしっかり休むようにと忠告したのだ
おめかししたユーリを見てざわついたが、やはり誰も声をかけてくることはなかった
「お待たせユーリ。それじゃぁ牽制も済んだことだし。行こう」
「牽制…ですか?」
「あぁ。いくらピアスがあるとはいえ、きちんと事実を目視させるのは重要だからな」
「そ、それって…」
ぼふんっと顔から火が出そうだ
シヴァはわざわざユーリと恋人関係であることを周囲に見せびらかしたということらしい
「シヴァ様…好きです」
「俺もだよ」
ちゅっと頬にキスをされ、それだけでふやけてしまいそうだった