第3章 デートをしよう
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「ユーリ!そのピアスはまさか!」
挨拶もせず、開口一番にレイラが指摘したのはそこだった
「う…うん。えっと…。この間、貰ったんだ…」
そう言ってかぁっと顔が赤くなるのが自分でもわかった
今朝は早くからレイラに政務室へ来て貰っている
というのも、午後からシヴァとデートをすることになっているからだ
「いやぁ、感心感心。ついにシヴァ様も決心したのね。ユーリは俺のものだから手を出したら容赦しない、と全ての男に宣戦布告かぁ」
「れ、レイラ…」
「だってそうでしょう?家紋入りの特別なピアスよ。私だってそういう自負はあるわ」
どーんと胸をはるレイラ
その耳にはディーンから貰ったピアスが輝いている
高貴な貴族がピアスを贈る習慣は昔からあるらしい
主に婚約者に贈るもので、他の男へのアピールでもあり、婚約者の浮気防止の意味もあるのだとか
とはいえ、今ではこのピアスが贈られることこそが一流のステータスとなっているらしい
婚約しても破談になることは珍しくない
そのため、婚約したからといって必ずピアスが贈られる訳ではないのだとか
「ピアスを贈るのは一生添い遂げるという誓いであり、それを受け取るのは同じ誓いをたてたということなのよ」
ふふんとレイラは鼻を鳴らす