第1章 魔女の禁忌魔法
その後、騎士によって捕らえられた魔女に話を聞いたところ、やはり性転換の魔法だったらしい
しかし、禁忌魔法のため、言い伝えも古く、この魔法は完成していないのだという
「一晩で元に戻る魔法、ですか」
「魔女が言うにはそうらしい」
政務室のすぐ隣に控え室があり、ユーリはそこで待機を命じられていた
下手に出ていくと皆が混乱するから、だそうだ
ユーリに自覚は無いが、その容姿のせいでこの城にはユーリを知らない者はいない
男の子とは思えない可愛さに、誰もが一度は噂を口にしたことがあるのだ
「……今日一日の我慢だ」
「はい…」
シヴァが魔女に会いに行っている間に、ユーリはシヴァに借りたシャツに着替えていた
しかし大きすぎてダボダボだ
今日一日どうしていいか悩んでいると
「シヴァ、いるかい?」
政務室の方から声がした
この声にはユーリも聞き覚えがある
「ディーンか。ちょっと待ってろ」
シヴァはそう言って控え室から出ていく
それでもユーリは気になってドアに耳を近づけて会話を聞いていた
「お前の秘書、魔女のせいで性別変わっちゃったんだって?」
「……もう知ってるのか」
「あぁ。城中の噂だ。あの麗しの姫が本当に女になるなんてなぁ」
ディーンの笑い声にユーリは首を傾げる
麗しの姫…?