第3章 デートをしよう
「ユーリ。あなたには悪いけど、私たち、少し喜んじゃってるのよ」
サラにそっと手を掴まれ、そのひんやりした温度に少し冷静になる
「サラ様?」
「男なのに女になって、ユーリは大変な思いをしているでしょうけど。もしユーリがシヴァと結婚してくれたら、本当に私たちの娘になれるのよ」
「あぁ、これほど嬉しい事はないな…」
「サラ様…ドーノン様…」
そんなに自分を思っていてくれたなんて
ユーリは胸が熱くなる
二人の気持ちはすごく嬉しかった
でも…
「残念ですが、私は中途半端な状態です。戸籍上は男のまま、女にはなれません」
「あら、女でいる時間の方が長いのでしょう?ならもうれっきとした女の子よ」
あっけらかんとサラは笑う
本当に深くは考えていないようだ
「ユーリがシヴァのお嫁さんねぇ。素敵だわぁ」
「そうだなぁ」
ユーリを置いてきぼりにして、二人だけの会話に花を咲かせていると、勢いよく扉が開かれる
姿を現したのはシヴァだった
「父上、母上!連絡も無しに一体どういうことですか!」
その表情は珍しく怒っているようだった
つかつかと歩み寄ってくると、両親である二人を遠慮なく睨み付ける