第1章 魔女の禁忌魔法
光が収まり目を開けると、魔女は姿を消していた
「くそっ。逃げられたか。探せ!遠くには行っていないはずだ!」
「はっ!」
騎士二人は急いで部屋から出ていく
残されたユーリはポカーンとしていた
「ユーリ、大丈夫か?」
目の前に立ったシヴァが心配そうにユーリを見下ろす
こんな時なのに心配してくれたのが嬉しいなんて不謹慎だろう
絶対口には出せない
「大丈夫です。あの魔女、僕を女だと勘違いして男に変えようとしたんですよね。だから失敗したんだと思います。僕、もともと男ですし…」
「そうか…」
「それより、そろそろお昼ですよね。今日もこの政務室で食べられますか?」
「あぁ…」
まだ心配そうにしているシヴァにユーリは笑ってみせる
魔女の魔法が効いて、たくましい男になったらいいのにと頭の片隅で考えながらユーリは時計を確認する
そろそろ食堂に昼食が用意されている頃だろう
「じゃぁ食事を取ってき…」
そう言ったところで言葉は続かなかった
一瞬にして胸が苦しくなったのだ
「…ユーリ?」
「すみません…なんか…くるし…」
「どうした!?」
シヴァが慌ててユーリの肩を掴む
立っていられず、その場に膝をつく
苦しい胸を押さえると、そこに異常が見られた
ボタンが三つ、飛んだのだ