第2章 魔女の逃亡
結局シヴァが戻ってくることはなく、ユーリは借りた鍵を使ってシヴァの部屋にいた
レイラの協力のもと、どうにか食事を済ませ、今はシャワーを浴び終えたところだ
もう月は高い
灯りがぼんやりと部屋を照らしていた
このまま自室へ戻って寝てしまうのが正解だろうが、ユーリはシヴァに会いたくてたまらなかった
結局今日も役立たずで、何もできていないという自覚がある
そんなの辛いだけだ
とはいえ、今のユーリにはシヴァに何をしてあげられるのか…
考えた結果、やはりここにいては迷惑だろうと結論付け、部屋を出ようと立ち上がったところ、先にドアが開けられる
「…ユーリ?」
「シヴァ様!お疲れ様です」
このタイミングで帰ってくるとは思わず慌てて駆け寄る
「自室に戻っているかと思った」
「も、申し訳ありません。今から戻ろうかと…」
言葉途中で遮られる
気がつけば抱き寄せられ、唇が重ねられていた
「んっ…シヴァ…さま…」
角度を変え、執拗に唇をむさぼるようなキス
次第に舌が絡めとられ、思考が停止する
媚薬のようなキスだ
それに必死に応えている自分がいる
もっとしてほしくてシヴァの首に腕を回せば、より一層強く抱き締められる
胸が、お腹の奥が疼く
こんなにもシヴァを欲して止まない自分にがっかりしたが、同時に受け入れていた
今の自分にはシヴァがいないと生きていけないと