第2章 魔女の逃亡
「ちょっとレイラ!何するのさ!」
慌てて顔を上げて振り向くとそこにはにっこり笑ったレイラがいた
突き飛ばしたのは自分だと主張するように、その両手は床と平行に上げられたままだ
「何って、決まってるじゃない。とにかく、シヴァ様と一緒にいるのがいいわ」
「…は、はぁ?」
「だってそうじゃない。もともと保護者みたいなものだし。シヴァ様がいれば心強い。それに、シヴァ様だってユーリにフラフラされたら心配だと思うけど?」
ぽかん、としてしまう
今は自分の性別が曖昧でどうしようかと悩んでいるのだ
しかし、レイラはそんな事に興味が無いようで、ユーリの身の回りの危険を危惧しているようだった
「こうなったら、本当にピアスを用意するしかないわね、シヴァ様」
なんて言いながら笑顔を絶やさないレイラ
シヴァは固まったまま動かない
周りに助けを求めようと第一部隊のメンバーを見渡したが、わざとらしく視線を反らされてしまう
関わりたくないと言っているような態度だ
困ったユーリを見てレイラはまたしても笑った
「なるほど。ちゃんと牽制できてるのね」
そう言って首を指差す
「なっ…!?」
ユーリは顔を真っ赤にして首を押さえていた