第2章 魔女の逃亡
その後、第一部隊の知った顔を見つけ、シヴァの居場所を聞き出すと、ちょうど地下牢へ続く入り口で彼の姿を発見する
「シヴァ様」
ちょっと緊張しながら声をかけると、こちらを向いたシヴァはあからさまに迷惑そうな顔をした
「……控え室にいろと言ったはずだが?」
ピリッとした空気に周りにいた第一部隊のメンバーや、地下牢への入り口に立つ衛兵が怯み上がる
もちろんユーリも今すぐ逃げ出したい衝動に駆られたが、レイラにがっちり腕を掴まれ、逃げる事は叶わなかった
「やぁね、怒らないでくださいよシヴァ様。大丈夫ですって。私が一緒なんですから」
その場の空気に似つかわしくないレイラの明るい声がやけに響く
にっこり笑っているのはレイラだけだ
「何故お前が一緒で俺が安心すると?」
「ふふっ。わかっていて聞かないで下さい。そんなに心配ならピアスのひとつでもユーリにあげたらどうですか」
ね?と言ってレイラは自分のピアスを指差す
レイラはいつも同じピアスをしていた
親指の爪程のプレートがぶら下がった金色のピアスだ
ユーリはまたしても疑問が浮かぶ
何故シヴァにピアスを勧めるのか、と
しかし今はそれよりも気になる事があった
「シヴァ様。今から魔女に会われるのですか?もしそうなら私も…」
「いや、魔女は脱走した」