第2章 魔女の逃亡
半ば押しきられる形で政務室を出る
その瞬間、一気に注目の的になり、ユーリは汗をかきそうだった
「ほら、行くわよ」
レイラはユーリと腕を絡ませ、べったりした状態で歩き出す
「レイラ、歩きにくいよ」
ただでさえ慣れない靴だというのに、密着していると動きにくい
「いいじゃない。女になったユーリと城を歩くんだもの。自慢したいのよ」
「自慢って…意味がわからないよ。それにシヴァ様だって怒るよ。レイラ、私には男物の服を用意しろって言われなかった?」
「言われたけど、それこそ意味がわからないわ!ユーリを着飾るチャンスなのよ!?それを私が無駄にするはずないでしょう!?」
「……はぁ」
そんな風に力一杯言われてもよくわからなかった
とりあえずレイラはただ楽しんでいるのだろう
「それに、くっつくのは男避けよ。ほら、あっちにもこっちにも…私たちに話しかけたいって男たちがいるわよ」
言われて視線だけを動かす
確かにこっちを見てひそひそと話をしている人はたくさんいるが、話しかけてくる気配は無い
「えっと…何でくっつくのが男避けに?」
「あら、簡単よ。私に話しかけるのはディーン様に喧嘩を売る行為になるわ。そしてその私がユーリと一緒にいるところに話しかけても同じこと」
「……はぁ」