第2章 魔女の逃亡
「ユーリ。俺は魔女に会いに行ってくる。レイラをすぐに呼ぶから待ってろ。それと昼食も用意させる」
「シヴァ様…」
優しい声音に胸がキュンとした
嬉くて、今すぐにでも飛び出したくなる
だが、そんなことをしてシヴァにがっかりされたくもなかった
昼間っから欲情している女なんて、シヴァは嫌いだろう
「大人しくしてろよ」
「はい。申し訳ありません…」
あぁ…行ってしまう
シヴァの事だ
淡々と物事を進めるだけなのだろう
女になったユーリを見て僅かに驚きはしたものの、特に動揺はしていないようだった
パタン、とドアが閉まる音がする
その音がやけに虚しくて、ユーリは小さくため息を溢していた
「ドキドキしてるのは僕だけなんだ…」
そう思うと涙が出そうだった
男でいた時には憧れの気持ちが強いが、女になると途端に恋心が溢れ出す
「シヴァ様…好き…」
ドアにおでこを宛て、小さく呟く
好きすぎて辛い
シヴァを前にしたら奇行に走りそうだ
大好きなシヴァの前で痴女にはなりたくない
だとしたら気持ちを抑えなきゃいけないのだ
そう決心した時、カチャッとドアが開けられ、おでこから離れていく
「えっ…?」
驚いて顔を上げると、そこにはシヴァが立っていた