第1章 魔女の禁忌魔法
魔女といえば、百年前まではそこらじゅうにいたという
魔力の維持が難しく、どんどん衰退していき、今ではその姿を確認するのは稀である
そのせいで現代では魔法と生活はほど遠いものになっていた
「別に魔女ってだけで捕まることはないですよね?」
「あぁ。許可を取らずに勝手に店を開いていたことが問題だ」
シヴァが手元の書類を指で弾く
どうやら魔女について記載されているらしく、ユーリもそれを覗き込んでいた
「街一番の露店通りで勝手に出店。立ち退きを命じても従わず、更には魔法で隣の店を半壊に…うーん。これは確かに捕まりますね」
ユーリも呆れてしまう内容だった
そんな時、部屋の外からバタバタと足音が聞こえる
その足音はこの部屋の前で止まると、勢いよくドアが開けられた
姿を現したのは一人の老婆だ
「ここにシヴァって隊長はいるかい!!」
声が少し枯れていたが、声量がすごいその老婆は、シヴァを見つけるなり睨み付ける
「こいつが魔女だ」
ぼそっとシヴァが呟き、ユーリはなるほど、と納得する
手には腕の長さほどの杖を持っていた
あれで魔法を使うのだろう
「ま、待て!」
「勝手に抜け出して、このやろう!!」
遅れて第一部隊の騎士が駆けてきて、すぐに魔女を羽交い締めにする
しかし、魔女は暴れて収拾がつかないようだった