第1章 魔女の禁忌魔法
この国の騎士団は五つの隊に分かれている
そしてそのうちのひとつ、第一部隊をまとめるのは二十五歳のシヴァだ
ユーリは十年前、住んでいた村を盗賊に襲われ、シヴァに助けられたのをきっかけに今はシヴァの秘書をしている
誰にも譲れないポジションだけに、仕事に手は抜けない
本当ならユーリも騎士としてシヴァの横に並びたいという思いがある
しかし、細い腕はどんなに鍛えても筋肉がつくことはなく、体だって全然男らしく成長しないのが現状だ
「無理して剣を握る必要はない。戦い方ならいくらでもある」
シヴァがそう言ってくれたのを機に、ユーリは秘書としてシヴァを支えると決めたのだ
隊長クラスになると机仕事だって多い
そのため、ユーリはできる限りのことをしてシヴァの苦労を減らそうと走り回る日々が続いていた
「お待たせしました」
「あぁ」
コーヒーを置くと、シヴァは顔を上げないまま返事をし、カップを手に取る
そして、コーヒーを何口か飲んだところでシヴァはやっと一息ついたようだった
「お疲れですね」
シヴァの顔は浮かない
どうやら相当疲れが溜まっているようだった
「まぁな。今日は久々に魔女が捕らえられたんだが、これがやっかいでな」
「魔女、ですか」
ユーリは目を見開く