第2章 魔女の逃亡
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大浴場で汗を流し、さっぱりしたユーリは頬を叩いていた
油断すると思い出してしまう昨夜の事
思い出す度恥ずかしくて、このままでは仕事に集中できない
シヴァに迷惑をかけられない分、必死に働かなくてはいけないのだ
たった一晩の出来事で人生を台無しにするわけにはいかない
食堂で朝食をとると、政務室へ向かう
皆がユーリを見て何か言っていたが、聞こえないフリをした
政務室ではまず暖炉に火を付ける
そして掃除をし、シヴァが使うペンとインクを用意し、今日チェックする資料を並べる
とそこへ、シヴァが姿を現す
「おはようございます」
「あぁ」
いつもと変わらないやりとり
だが、二人ともどこかぎこちない
「今日は午前中は書類の確認。午後は訓練に参加となっております。明後日の夕方には隊長会議がありますので、事前に議題に目を通しておいてください」
「わかった」
事務的なやりとりをし、ユーリは控え室にコーヒーを用意しに行く
「はぁ…緊張する」
つい見てしまうシヴァの唇
昨夜、何度もキスをしたのだ
しかもあんなに激しく舌を絡めて
「あぁもう。バカ。思い出すな」
ユーリは頭を抱える
集中しろ!
そう考えてユーリは雑念を振り払うのだった