第2章 魔女の逃亡
キス、してくれませんかーー
潤んだ瞳でそう見上げてきたユーリを思い出す
ずっと我慢していたものが、一気に崩れ落ちたような気がした
女になったせいでシヴァに恋をしたような事を言っていたのは少しショックだったが、抱かずにはいられない
ずっと独りで生きていくつもりだった
家督は弟が継いでおり、シヴァは騎士として生涯を終えるつもりだったのだ
「はぁ…」
何度目かのため息をこぼす
手のひらにはユーリの柔らかい感触が今でも残っていた
あの柔らかさにもう触れられないのだと考えたら少し残念だが、頭を切り替えなくてはいけない
「シャワーでも浴びるか…」
ダルい体を起こし、シャワー室へ向かう
昨夜、ユーリがシャワーを使ったと思いだし、シヴァはまたしても頭を抱えたのだった