第2章 魔女の逃亡
十年前、強くなりたいと言ったユーリは剣を振り回すようになっていた
しかし全く上達せず、体力も無い
年をとる毎に少し成長したが、男らしくなることはなかった
それどころか可愛さを増し、到底男には見えない容姿になっていた
そのせいか、男色に興味の無かった者たちも、ユーリなら相手をしてみたいとこぼすようになっていたのだ
ユーリの貞操の危機に、シヴァは少し過保護になっていた
自分が第一部隊の隊長になったのを機に、正式にユーリを秘書に任命し、常に側に置いた
ディーンには過保護だと何度も言われたが、シヴァは気にしなかったし、今も気にしていない
誰かが「ユーリが女だったら」そう呟いたことがある
それはシヴァだって想像したことがあった
だが、考えたって何も変わらない
そう思って考えないようにしていた
それなのに、あの魔女が現れた
当然のように魔女もユーリを女だと勘違いし、性転換の魔法を使ったのだ
あの後、ディーンが政務室に群がる野次馬をなだめてくれなければ、押し寄せる男たちにユーリは襲われていたかもしれない
男の状態でも危険なのに、女になったら尚更危険だった