第2章 魔女の逃亡
***
パタン、とドアが閉まる音を確認してからシヴァは目を開ける
ユーリが目を覚ますと同時に起きていたが、どう反応していいかわからず、狸寝入りをしてしまった
「はぁ…」
シヴァはおでこを押さえる
昨日、ユーリが女になった時は衝撃すぎて大したフォローもできなかった記憶しかない
ユーリと出会ったのは十年前
盗賊が出たと連絡があり、討伐のために向かった村は既に炎が上がっていた
せめて生き残りを探すようにと指示があり、喉が焼けるような思いで村を回ると、そこにユーリはいたのだ
ぽつんと一人立ちすくみ、燃える自分の家を見上げていた
「おい、お前」
声をかけるとその子供は小さく振り向く
すすで頬が汚れ、服はところどころ燃えて穴が空いていた
それなのに、ハニーブラウンの瞳に引き込まれそうになったのを覚えている
一瞬女かと思ったが、すぐに男であることに気づく
助けたユーリは他の人になつくことなく、仕方なくシヴァが預かることになり、人見知りが治った今でもシヴァが預かっている状態だ
なのに手を出してしまった…
目を閉じると昨夜のユーリを思い出す
頬を染め、瞳を潤ませ、必死に快楽の波に耐えようとしている姿はシヴァをおおいに興奮させた
あんなに可愛くなられ、我慢しろっていう方が無理だ…