第1章 魔女の禁忌魔法
雪に覆われた街が、徐々に色を取り戻す
雪解けが進み、もうすぐ春が訪れるこの季節
それでも寒いため、暖炉の火は欠かせなかった
街の中心にある城
もともと白いせいで、見上げるとやけに眩しい
その城の廊下をパタパタと走っているのはユーリだ
短いピンク色の髪に、ハニーブラウンの瞳を持つ
今日で十五歳になったばかりだが、その顔はまだ幼い
志は立派な少年だが、背が低いせいで子供に見られがちだ
コンプレックスだらけのユーリだが、唯一誇りに思っていることがあった
「シヴァ様、お待たせしました」
ドアを開けると、そこにはわずかに顔を上げたユーリの主、シヴァがいた
「あぁ。書類はそこへ置いておけ」
「はいっ。すぐにコーヒーをお淹れしますね!」
ユーリが書類を置いた時にはもうシヴァは手元の資料に向き直っていた
そんなシヴァを見てユーリは小さく微笑む
ユーリにとってシヴァは絶対的存在であり、憧れでもある
銀髪に金色の瞳は、つい見とれてしまうほどだ
女性からの人気も高いが、本人の愛想が無いため、話しかける勇気のある女性は少ない
騎士団の第一部隊隊長でもあり、体格の良さが少し怖いイメージを持たれてしまうのもひとつの影響だ