第1章 魔女の禁忌魔法
どれくらいキスしていたのかわからない
時計を確認する余裕さえないユーリは気がつけばシヴァに抱き締められていた
まだ呼吸が荒いうえ、自分で立っていられないほどフラフラだった
初めてのキスの相手がシヴァ様だなんて…
ユーリはシヴァの背中に手を回す
嬉しくて、離れたくない
もともとユーリは男だ
拒まれてもしょうがないはずなのに、キスをしてくれたのだ
誕生日プレゼントのつもりなのだろうが、それでも嬉しいものは嬉しい
「満足したか」
シヴァの声が耳をくすぐる
もう部屋に戻らなくてはいけないだろう
だけど嫌だった
これ以上のわがままを言えないが、せめて…女でいる間だけでも…と考えてしまう
ユーリは腕に力を込め、離れたくないと言わんばかりに抱きつく
ずるいってわかっている
シヴァだって困っているだろう
十年も一緒にいた…おそらく弟ぐらいにしか思っていない存在からキスをせがまれたのだ
いい加減帰ってくれと言われてもしょうがない
…それでも
「もう少し…一緒にいたら…ダメですか?」
「ユーリ…」
「お仕事の邪魔はしません。コーヒー淹れてきます。だから…」
今だけ許してほしい
願いを込めてシヴァを見上げる