第1章 魔女の禁忌魔法
しばらく見つめあった後、シヴァの手が離れていく
それが寂しくて、ユーリはとっさにシヴァの手を掴んでいた
「…っ、ユーリ?」
再びシヴァが手を引っ込めようとしたが、ユーリはそれを離さなかった
本当にシヴァが振りほどこうとすれば簡単に振りほどけただろう
しかし、シヴァはそうはしなかった
そのせいでユーリには淡い期待が浮かんでしまう
「シヴァ様…」
ドキドキと煩いせいで自分の声がよく聞こえない
それでもユーリはシヴァを見上げたまま続けた
「そ、そろそろ部屋に戻れ」
「シヴァ様、お願いがあります」
握る手にさらに力を込める
振りほどかないで…僕を…拒絶しないで…
シヴァに見捨てられたらユーリは生きていけない
今の関係は絶対に壊してはいけないのだ
それなのに、ユーリは沸き上がる欲を抑える術を知らない…
「誕生日プレゼント…、やっぱりほしいです」
「…ユーリ?」
ごくりと唾を飲む
言ってはいけない、と思う反面
今しかない、と心が叫んでいた
わずかに訪れた沈黙
それを破ったのもユーリだった
「シヴァ様…お願いします。……キス、してくれませんか」