第1章 魔女の禁忌魔法
「ほら、お前の荷物だ」
「ありがとうございます」
制服の他に、鍵もある
これが無ければ自分の部屋に入ることができないところだった
「今日は災難だったな」
ぽん、と頭に手を乗せられ、心臓が跳ねる
…ずるい、そんな不意打ち
どうやらドキドキしているのは自分だけらしい
それが何だか悔しかった
「ちょっとびっくりしましたけど、僕は大丈夫です」
「そういえば、今日はお前の誕生日だったな」
「覚えててくれたんですか!?」
ぱぁっと笑顔になる
時計を確認するとあと数分で今日が終わってしまうところだった
「毎年騒いでいるから忘れられん。にしても、今年は珍しく騒がなかったな」
「それは…もう十五にもなるので…」
いい加減誕生日で騒ぐなんて子供っぽいかなと考えていたのだ
それでも、こうして誕生日を覚えててもらえるなんて嬉しい
「なんだ。何かプレゼントでも用意すればよかったか?」
シヴァはちょっと意地悪な笑みを浮かべる
めったに表情を変えないシヴァの貴重な笑顔だ
それだけでも特別な気がした
「プレゼントなんて…でも、シヴァ様からいただけるなら何でも嬉しいです」
ドキドキと高鳴る鼓動
シヴァを見上げる瞳は、本人が意図せずとも潤んでいた