第8章 これからの二人
シヴァの話によると、当然議会の承認を得るのは苦労したのだとか
しかし、ずっと口を閉ざしていた陛下が言ったのだ
『まったく。こんな事すら直ぐに答えを出せないようではあっさり他国に蹂躙されるぞ。お前たちの言う夫婦とは子を作ることが義務だと、未だに考えている国民が何人いると思っている?時代錯誤も甚だしいぞ。国民の意思を汲み取り、尊重する。そのための議会であろう。まずはユーリとやらの性別変更を認め、続いて同性婚も認めるよう法律を改正するべきだ』
そのお言葉で、揉めに揉めまくった議会は静まり返り、あっさり議長の承認印を得られたのだという
議員は頭の剥げた頑固ジジイしかいないため、世論を全く理解していなかったらしい
今まさに国中で同性婚を認めるよう署名が集められているというのだ
「なんか…すごいことになってますね」
まさか陛下が出てくるとは思わず、ユーリの涙はぴたりと止まっていた
「まぁな。父上も驚きを隠せずにいたな。しかし、とても喜んでくれていた」
「シヴァ様…」
「ユーリ」
視線がぶつかると、どちらともなく目を閉じ、唇が重なる
触れるだけのキス
それでも心が満たされていく
「今度こそ、本当の夫婦になろう、ユーリ。俺の妻になって欲しい」
そう言ってシヴァが取り出したのは一通の書類だった