第8章 これからの二人
「ほんと……に…?」
握られている手が震える
シヴァの瞳には不安げなユーリが写っていた
「間違いない。やったな、ユーリ」
「シヴァ様…」
そっと抱きしめ合う
想いは涙となり溢れ、言葉にならない
月の障りがきたあの日から一週間した頃、サボナ先生がユーリの体は女であると証明書を発行してくれた
それを基にシヴァの父、ドーノンが議会で何度も戸籍の変更を可能にするようにと提案してくれた
それだけではない
ディーンやレイラ、多くの人の協力を得て、ユーリを法律上…つまり戸籍上の性別を女に変更できるよう動きが強まっていた
そんな皆を見て、ユーリはそれだけで十分の様な気がしたのだ
多くの人がここまで動いてくれてるなんて、本当に夢のようだった
『いいかい、ユーリ。諦めてはいけないよ。君は養子ではない、シヴァの正式な嫁になるんだ。だが、この手続きが通るには、恐らく何年もかかるだろう』
ドーノンが言っていた事を思い出す
皆で頑張ろう、諦めないで頑張ろう
そう会話をしたのは、たった三ヶ月前のことだ
もちろん、ユーリは覚悟していた
しかし…あまりにも早すぎる
「シヴァ様…なんでこんなに早く…」
顔を上げると、シヴァの武骨な指がそっと涙を拭ってくれる