第7章 奇跡はすぐに
もやもやとした考えは消えないままでいると、外からバタバタと足音が聞こえ、医務室のドアが勢いよく開けられる音がする
「これ!医務室では静かにせんか!」
サボナの声も聞こえたが、足音の主は一直線にユーリのいるベッドへ向かい、今度は勢いよくカーテンが開けられる
目の前に現れたのはシヴァだった
「シヴァ…様…?」
その髪はわずかに乱れ、急いで来てくれた事を物語っていた
「あの…シヴァさ…わわっ」
急に抱きしめられ、ユーリは言葉を失う
シヴァの腕の力がいつもより強くて呼吸すら苦しいくらいだ
シヴァに何と説明したらいいか答えは出ていなかった
そんな戸惑うユーリにゆっくり体を離したシヴァは呟く
「看護師から話は聞いた。体調は大丈夫か」
「…………はい」
なんだ、聞いてしまったのか…
ユーリは胸が苦しくなる
確かに自分では説明が無理だったかもしれない
それでも、まだシヴァに知られたくなかったと思うのだ
そう、それも理由はただひとつ
シヴァに期待され、その後にがっかりされたくない
それだけだ…
「ユーリ…」
だが、見つめたシヴァの瞳には期待なんてなかった
ただただユーリを心配している様にしか見えない
そんなシヴァにユーリは胸が締め付けられる思いだった