第7章 奇跡はすぐに
「大丈夫だ、ユーリ」
今度はそっと優しく抱きしめられる
ぴたりとくっついた二人の体
服が間にあるというのに、温もりを分け合うような、不思議な感覚に陥った
「今は余計な事は考えなくていい」
「シヴァ…様…」
「お前が無事ならそれでいい。これからの事は二人でゆっくり考えよう」
「……っ、シヴァ様…」
不意に目頭が熱くなる
それは直ぐに涙となって溢れていた
「泣くな、ユーリ。お前は俺に愛されていればいい。これから先もずっと、それは永遠に変わる事はない」
「はい…はい、シヴァ様。私もシヴァ様を愛してます…」
たくましい背中に手を回し、ぎゅっと力を込める
こんなにも簡単に不安や混乱を吹き飛ばしてくれるなんて…
ユーリは涙を流し、シヴァはユーリを抱きしめたまま、その涙が止まるまでずっと抱きしめてくれていた
あたたかい……
それに、とても力強い
シヴァの側にいるだけで気持ちが軽くなる
それはもちろん、ユーリが欲しい言葉をシヴァがちゃんとくれるからだろう
この月の障りは奇跡か、それともアヌー女神の加護か、それとも魔女のいたずらか――
理由はともかく、ユーリは大好きな人の腕の中、そっと目を閉じていた