第7章 奇跡はすぐに
「…あれ?」
突然ユーリは驚いたように声を上げる
体に違和感を感じたからだ
「どうしたユーリ」
「いえ、なんだか胸が温かくなった気がしたんですけど。気のせいみたいでした」
「そう…か?」
ユーリは自分の胸を押さえる
温かく感じたのは一瞬だった
もう何も感じない
「すみません、大丈夫です」
「ならいいが」
そう言ってシヴァはユーリにキスをする
周りにいた人が驚き頬を染めるが、シヴァは気にしていないようだった
「もう…シヴァ様ったら…」
ユーリも頬を真っ赤に染め、シヴァの胸に顔を埋める
嬉しいが恥ずかしいので、早くここを立ち去りたかった
「シヴァ様…」
行きましょう、と思いを込めて袖を引くが、シヴァは何故かニヤリと笑う
「やはり帰ったらお前を抱く。覚悟しておくんだな」
「なっ…なんでそんな話になるんですか!?」
「デザートがまだだったろ。帰ってから堪能しよう」
「もう…シヴァ様ってば…」
ぽっと顔を赤らめるが、ユーリが拒むことはなかった
二人は腕を組むと城へと戻る道を進む
甘い夜はこれから
二人の時間はまだまだ続く―――