第7章 奇跡はすぐに
シヴァたちは魔女に相席の承諾を得ることなく、勝手に料理を注文する
魔女はますます不思議でならなかった
次に軍に見つかったら、またしても捕らえられると思っていたからだ
シヴァが救援を要請した素振りは無い
だとすると、本当にただ休日を楽しんでいるようにしか見えなかった
「あの、魔女さん…ありがとうございます」
そう言ったユーリの頬は少し赤い
「あなたがいなかったら、私はシヴァ様とこうして一緒に出掛けたりできなかった。あなたの魔法のおかげで…その…シヴァ様への気持ちに気づけて…」
その後は言葉が続かないようで、照れながら両手で顔を覆う
もちろん続きを聞かなくても十分に伝わった
ユーリの耳に貴族間で交わされるというピアスが光っているだけでなく、その左手の薬指で指輪が輝いていたからだ
「ふん。私があんたたちを初めて見たとき、仕事中にイチャイチャするカップルにしか見えなかったがね」
「そ、そんなこと…」
慌ててユーリは否定する
だが、よくよく思い返して見れば、シヴァの手元の書類を覗き込むユーリとシヴァの距離は大分近かったのかもしれない
ユーリが女に間違えられる事が多々あったため、周りからはそう見えたのだろう