第7章 奇跡はすぐに
結局ユーリの意見で近場の飲食店に入る事にした
しかし、満席で直ぐには入れそうにない
仕方なく別の店へと移動しようとした時、シヴァが店内を進み始める
「シヴァ様?」
慌てて後を追うと、シヴァはとあるテーブルの前で立ち止まった
四人掛けのテーブルに一人の老婆が座っており、食事をしている
そんな老婆を見て、ユーリは息を飲んだ
同じように顔を上げた老婆も驚いて目を見開いている
「久しぶりだな、魔女」
シヴァがそう呟き、老婆の前に座る
腕を引かれ、ユーリも座ると、老婆に向かい合うようにして席が埋まった
ユーリは信じられない気持ちで目の前の老婆を見つめる
そう、老婆はユーリに性転換の禁忌魔法をかけた魔女だったのだ
「な、なんだい…まだ私を捕まえようってか…?」
魔女は口角を上げて笑ったが、少し自信が無さそうだった
手にしていたスプーンがそっと置かれる
だが、それに対してシヴァは冷静だった
「いや、掴まえるつもりはない。これは偶然の出来事だ。お前がこの国に戻ってきたとは聞いていたし、会いたいと思っていたが、まさか本当に会えるとはな…」
えっ、とユーリはまたしても驚く
シヴァは魔女の情報を掴んでいたのだ
「ふん。私は会いたくなかったよ。それに…」
魔女と視線がぶつかる
ユーリは思わず背筋を伸ばしていた