第7章 奇跡はすぐに
「ユーリ」
呼ばれてユーリは目を覚ます
目の前にはユーリを優しく覗きこむシヴァがいた
「シヴァ様…」
ぎゅっと抱きつき、そして弾かれたように顔を上げる
「す、すみません!私、寝ちゃって…」
「寝ておけと言ったのは俺だ。気にするな」
確かに眠かったのは事実だが、せっかくのデート中に居眠りなんて、とユーリは頭を抱える
「それより着いたぞ」
「は、はい」
シヴァの手を借りて馬車を降りる
王都の中心部まで戻ってきたのだ
空はもう暗くなり、夜である
「軽く飯を食べて帰るか」
シヴァの提案にユーリは小さく頷く
するとシヴァはニヤリと笑った
「なんだ。夜はまたあの店に行きたかったか」
「なっ…そ、そんな…」
言われてぼっと顔から火が出そうだった
デートに誘われた時は期待した
いつも夜は二人だけの個室で食事をし、月が傾くまで交わるのだ
だが、今日は既に腰が痛く成る程抱かれている
シヴァの提案に異論はない
無いのだが…
「ならいつもの店に行くか」
「い、いえ!今日はもう大丈夫です!」
何故かシヴァの目は輝いている
あんなに神殿で抱かれたというのに、どうしてここまで元気なのか
ユーリは理解できなかった