第1章 魔女の禁忌魔法
びしょびしょになってしまい、ユーリは怒るより先に震えていた
恐る恐るシヴァを見上げると、やはりその表情は不機嫌そうに歪んでいる
「も、申し訳ありません」
「お前が謝ることではない。寮に戻る」
「は、はい」
出て行くシヴァの後を追う
政務室に戻ってもシャワーは浴びられないからだ
しかし、男子寮に戻ってきてユーリは気づく
「あっ、シヴァ様。僕、ここで大浴場を使っていいのでしょうか?」
「……そういえばそうだったな」
男子寮は、当然男しかいない
隊長と秘書は隣同士の部屋を用意されているが、その部屋の設備はまったく違う
隊長の部屋は広く、シャワー完備だ
しかし、ユーリの部屋にシャワーは無く、いつも大浴場を使っていた
シヴァもそのことを忘れていたのだろう
だからと言って女子寮に行かせるわけにはいかない
「……俺の部屋のシャワーを使え」
「えっ、シヴァ様の部屋ですか!?」
「なんだ不満か」
「い、いえ!そんなことは!」
ぶんぶんと首を横に振る
好きな男の部屋に誘われた時、女性はこんな気持ちになるのか…
ユーリは高鳴る胸を押さえる
緊張しておかしくなりそうだ
あぁ、もう…僕はどうしたらいいの!?
シヴァの後ろでユーリは頭を抱えながら歩いていた