第6章 女神への誓い
シヴァに促され、ゆっくりと中を進む
円台を避ければ、老神父の言っていた湧水がよく見えた
そこは湧水が溜まっており、水面が揺れている
溢れた水は左右の壁沿いに作られた溝に流れ出ているという仕組みらしい
湧水は禊のために使用するため、少し深さがあるようだ
階段があり、その水に身を浸け、穢れを落とすと事前に説明を受けている
「水と言っても地下熱で温められている。ほぼぬるま湯に近いはずだ」
「そうなんですね」
「入るぞ」
「はい」
一歩一歩、階段を下る
シヴァの言うとおり湧水は温かく、冷たかったらどうしようという僅かな不安は吹き飛んでいた
湧水は胸の下までの深さだった
巻き付けただけの布が、水の中をふわふわと漂う
「ユーリ…」
胸の前でシヴァに手を握られ、二人は向かい合う形となる
女神の前で愛を誓う、重要な儀式の始まりだ
相変わらず女神像は微笑んだまま、二人を見下ろしてくれている
「何度でも言おう。ユーリ、お前を愛している。この命が尽きる時まで、俺はユーリだけを愛し、幸せにすると誓う。だから形だけでも、世間から認められなくてもいい…俺の伴侶となってほしい」
「シヴァ様…」
我慢すると決めていた涙がぽろりと溢れる
嬉しくて、胸が苦しい
シヴァの言葉にはユーリを幸せにさせる、魔法以上の奇跡があるようだった