第6章 女神への誓い
その他に、一通り説明を終えると老神父は静かに神殿を去っていった
となれば、本当にシヴァの言うとおり二人だけの結婚式になるらしい
ユーリは右の扉に進む
そこは、部屋と呼ぶには狭い場所だった
着替えが入っている籠と、鏡があるだけのシンプルな部屋
だが、窓も無いのに花の優しい香りは続いていた
「これが…結婚式用の服?」
用意されていたのは真っ白な布一枚と麻でできた紐、それと月桂冠
どうしたらいいのかと首を傾げたが、問題は直ぐに解決した
壁にアヌー女神の装飾彫刻があったからだ
女神は胸から足首まで一枚の布をまとい、胸の下で紐を結んで止めるというシンプルな出で立ちだった
頭には月桂冠が載せられている
ユーリは身につけているものを全て脱ぎ捨て、女神を真似するようにぐるりと布を体に巻き付け、紐で縛ると月桂冠を被った
鏡に写った自分はよく資料などで見る女神のイラストと同じ格好になっていた
まるで自分も女神の一人になれたのではないかと錯覚してしまうほどに…
「はっ。急がないとシヴァ様を待たせてしまう」
慌てて部屋を出ると、そこには既にシヴァがいた
そして、その出で立ちにユーリは胸をキュンとときめかせる
まるで神が降臨されたかのような姿に胸は高鳴るのだった