第6章 女神への誓い
街へ出るとすぐに昼食を取る
毎回シヴァの奢りで悪いと思いつつも、ユーリが財布を開くのをシヴァは決して許さなかった
代わりにといつもキスをねだられる
周りに人がいて少し恥ずかしいが、ユーリは触れるだけのキスでシヴァにお礼をした
そして、いつもなら夕方になるまで街を歩くのだが…
「馬車、ですか??」
馬車停へ着くと、シヴァは一台の馬車を用意した
「今日は街の外れへ行く。そんなに距離は無いが、歩くと少し時間がかかるからな」
「そうでしたか」
シヴァの手を取り馬車へ乗る
直ぐに御者から声がかかり、馬車は動き出していた
普段は馬に乗って移動するため、馬車に乗るのは久しぶりだった
シヴァが実家に住んでいた頃、何度か乗せてもらったことがあるくらいだ
「シヴァ様。街の外れには何があるのでしょうか」
「今から向かうのは神殿だ」
「神殿……。アヌー女神の神殿ですか?」
ユーリは首を傾げると、シヴァは小さく頷く
この国には多くの神や女神の伝説が残されており、いくつもの教会で祀られている
しかし、王都に神殿があるのはアヌー女神の神殿だけだった
神殿は昔からアヌー女神の子孫とされている貴族が管理をしているため、ユーリが神殿を訪れた事は一度もない