第1章 魔女の禁忌魔法
シヴァが食堂に行かず、政務室で食事を取ることはたまにある
そのため、二人きりの食事は珍しいことではなかった
にも関わらず…
「いただきます…」
フォークを手にするユーリは緊張していた
基本的に夜の食堂はビュッフェ形式だ
皆が好きなものを好きなだけ食べるのだが、シヴァの好みを把握しているユーリはいつもきちんと選んで持ってきていた
しかし今は立場が逆だ
シヴァがユーリのために選んでくれた食事がプレートに乗せられている
僕の好み、知ってたんだ…
そう思うだけで胸が熱くなった
嬉しくてたまらない
もしかしたら偶然ユーリの好みを取ってきてくれたのかもしれないが、そんなこと考えつかないぐらいユーリは心の中で跳び跳ねていた
緊張は消えないまま、食事を終えると、侍女に食器を下げてもらう
この後も遅くまで書類作業だ
シヴァは書類を確認するとサインし、押印していく
部屋の外に出れないユーリは何もやることが無くなっていた
と、そこへ副隊長が訪れる
「隊長、本日の報告書を持ってまいりました」
副隊長はシヴァの一つ年下で、シヴァの右腕だ
とても頼りになる男で、ユーリの憧れの一人でもあるのだが、今日はなんだかモヤモヤしてしまう