第1章 魔女の禁忌魔法
そう認識した途端、今度こそユーリはシヴァを見れなくなった
一度見てしまうと目が離せなくなってしまうのだ
もっと見たい、もっと触れたいと思ってしまう
この感情は初めてで、どうしていいかわからない
せめてディーン様かレイラがいてくれたら…
そう思うものの、二人だって当然忙しい
ユーリに付き合わせる程暇ではないのだ
体がここまで心に影響を及ぼすとは思ってもいなかった
恋する少女とはいつもこんな苦しい思いを抱えているのだろうか…
だとしたら必ず実るかどうかもわからない恋をするなんて、苦しいだけだ
しかもユーリは元々男だ
明日には男に戻る
それと同時にこの感情も消えていなくては困るだろう
男になってもシヴァを好きな気持ちが消えないままだと、それこそ不毛の恋を続けなければならなくなってしまう
誰にも言えない恋なんて、絶対にしたくない…
その後も本棚を整理しながらユーリは気持ちが落ち着くのを待っていた
しかし、どんなに時間が経ってもこの感情に慣れる事はなかった
「そろそろ夕食か。持ってくる」
「申し訳ありません」
「気にするな」
ユーリが部屋から出たのはお手洗いだけだ
しかも男性用は男がいるかもしれないからと女性用を使わされたのだった