第5章 結婚式の夜
ベンチを使い、大きく見せびらかしている者の中に知った顔を見つけた
今日馬車で一緒になったカップルだ
誰よりも俺たちが一番愛し合っていると言いながら、激しく交わっている
「ユーリ、ここから先は花や枝に引っ掛からないように気を付けるんだ」
「はい…」
シヴァは周りなど全く気にしていない様子だった
庭のメインブースを抜け、奥の茂みへと進む
姿は見えないが、いくつものあえぎ声が聞こえてユーリは恥ずかしくなった
「茂みでは姿は隠しても声は隠さない。そして他のカップルは声がした方には近づかないのが暗黙のルールだ」
「そう…なんですね…」
シヴァに誘導され、茂みの奥へと進む
思ったより人が多かったため、けっこう奥まで来てしまった
しかし、月明かりのおかげでよく見える
「ここまで来ればいいだろう」
「シヴァ様…」
そっと抱き締められ、うっとりする
他のカップルの喘ぐ声は遠くに聞こえた
「ユーリ、どう感じた。他の人が交わっているのを見て」
「えっ…」
そんな事を聞かれるとは思わず、驚いて顔を上げる
「見ていただろ。戸惑いながらも、目が離せないといった感じだった」
「それは…」
「教えてくれ、ユーリ」
そっと頬を撫でられ、ユーリは小さく口を開く
「わ、私も早く…シヴァ様に抱かれたいと…思いました」