第5章 結婚式の夜
「シヴァ様…自分で食べられます…」
「グラスを持っていたら食べにくいだろ」
もぐもぐしながら微笑むシヴァを見上げる
いつもより格好いいシヴァの笑顔は、やはりいつもり何倍も素敵に見える
「シヴァ様…今日も格好いいです…」
「どうした急に」
「いえ。こんなにも素敵なシヴァ様の隣にいられるなんて…幸せだなぁと思いまして」
「俺もだ」
ちゅっと触れるだけのキスをされる
それだけでとろけてしまいそうだ
シヴァの妻になりたいなんてわがままは胸の奥底に押し込み、ユーリはパーティーを楽しむ事にした
レイラとディーンに挨拶に行きたいが、あいにく二人は多くの人に囲まれていて、その姿を目にすることすら難しい
「そろそろ踊るか」
お腹が満たされた頃、シヴァに手を差し出される
ドキドキしながらもその手に自分の手を重ねると、手をとりあったままホール中央へ向かう
二人は注目を浴びたが、ユーリは全く周りの視線に気づかなかった
目の前のシヴァに夢中で、夢見心地のようにふわふわした気分でステップを踏む
シヴァのリードは完璧だったため、今日何度目かの『惚れ直した』を経験した
「シヴァ様…好きです」
「わかっている」
ダンスをしながらでも、シヴァはユーリにキスをしてくれた
もちろん、ユーリがステップを踏めなくなってしまったのは言うまでもない…