第5章 結婚式の夜
パーティーは陛下の挨拶から始まった
続いて新郎新婦の挨拶や仲人の挨拶
それが終わるとオーケストラのような演奏と共にダンスが繰り広げられる
「お飲み物はいかがでしょうか」
トレーに細いグラスを乗せたボーイに声をかけられ、ユーリは躊躇ってしまう
グラスに注がれているのは白ワインだ
ユーリは未成年のため、本来飲酒は禁止されている
「いただこう。ユーリはどうする。今日だけは誰もが解禁されているが?」
シヴァは迷わずグラスを手にしていた
ユーリはお酒を飲んだ事が無い
ただ、今日はシヴァの言うとおり特別な日なのだ
「私もいただきます」
そう言ってグラスを手に取る
乾杯、と言ってグラスを傾けると、チンと小さく音がしてグラスがぶつかる
恐る恐る一口を味わえば、甘い味と香りが口いっぱいに広がった
「美味しい…」
思ったよりも飲みやすい味にユーリは感動した
残りも飲み干すと、体温がわずかに上昇し、ふわふわと気持ちよくなる
「シヴァ様、もう一杯飲みたいです」
「あぁ。それはいいが無理するなよ」
「はいっ」
シヴァが軽く手を上げると、すぐに気づいたボーイが持ってきてくれる
ぐびぐび飲むのは、はしたないと言われているため、ユーリはできるだけチビチビと飲む事にした
「ほら、お腹が空いただろ。食え」
「あっ、んんっ」
シヴァはまるで子供に食事を与えるようにして、ユーリの口にフォークを運ぶ