第5章 結婚式の夜
貴族の結婚式は盛大で、夜のパーティーまでを結婚式と呼ぶ
教会で愛を誓い合った後は、白馬の馬車で街を闊歩し、国民から祝いの言葉が投げ掛けられる
そんな国民たちにもクッキーが配られ、普段口にすることができない高価な味に、更に皆が喜んでいた
その後は生命の源と言われる国一番の大きな川で、子宝を祈った儀式が行われる
さらにその後は山へと向かい、産まれてくる子供が健康であることを祈る
この国では、残念ながら夫婦は子供を作るべきという考えが根強い
そのため同性愛は認められても結婚は認められないのだ
かくいうユーリも一時的に体は女になるものの、妊娠できる体ではない
そのため戸籍上の性別は男のままである
ユーリがシヴァに引き取られてから、同性の結婚も認めるべきだとシヴァの父、ドーノンが何度も議会で提案しているらしいのだが
頭のお堅い議員たちはそれを認めようとしないのだとか
法律を変えるのは難しい
改めて実感したことだった
「どうした、ぼーっとして」
山から城に向かう馬車の中、頬にキスをされて我を取り戻す
「シヴァ様っ…何を…」
かぁっと赤くなったシヴァはユーリの腰を抱き寄せ今にもキスをしそうな勢いだ
「何って、愛しいお前が心ここにあらずの状態なら、どうしたのか気になるのは当然だろ」