第1章 魔女の禁忌魔法
その後、しばらく談笑してからディーンとレイラは部屋を出ていった
残されたユーリは気まずい思いで書類をまとめる
時々シヴァを盗み見し様子を伺っていた
シヴァも時々ユーリを見ていたが、ユーリが気づく事はなかった
シヴァ様…まだ機嫌悪いかなぁ
結局お昼ご飯はレイラの侍女が持ってきてくれたものをいただいた
夜はシヴァが持ってきてくれることになっている
部屋の外にいた野次馬はディーンが追い払ってくれたが、なんだかユーリは落ち着かなかった
本棚を整理するフリをし、じっとシヴァを見つめる
いつもはシヴァみたいな男になりたいと思っていた
しかし、今はどうだろう
やけに胸が高鳴る
僕ってば…どうしちゃったのかな…
これじゃぁまるで…
思わず両手で頬を押さえると、やけに熱い気がした
シヴァを見れば見るほど胸の高鳴りが激しさを増す
なら見なければいいと思うのだが、どうしても気になってしまうのだ
「ユーリ」
「はっ、はいっ!」
名前を呼ばれただけで動揺してしまう
思わず声が裏返ってしまったが、シヴァは気にしていない様子だった
「そこの本を取ってくれ」
「はい」
指定された本をシヴァに渡すと、わずかに指先が触れる
反射的にユーリは手を引っ込めていた