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【FF7 ヴィンセント BL】Halloween Night

第3章 trick or treat


玄関の扉を開くと、晩秋のひんやりとした空気が入り込んだ。
満月の光に曝されて、リオが熱い吐息を零す。
と、子供の話し声と複数の足音が近付いて来て、リオはヴィンセントに強くしがみついた。

「領主さまー!」

幾人かの子供達が、ハロウィンのお菓子の徴収に来たらしい。
ヴィンセントはリオをしっかり抱き直すと、紳士然とした笑みを浮かべて敷地の門扉へ向かった。
「…子供達の前で粗相はしまいな、リオ?」
耳に唇を近付けて囁くと、返事は無かったがリオの太腿に力がこもった。必死に尻を締めているのだろう。栓をしてやったので、そう簡単に漏らせはしないのだが。

「せーの…、トリック・オア・トリート!」
ハロウィンの仮装をし、声を揃えた子供達に、ヴィンセントは持って来た菓子の籠を渡す。
「但し、他の子供にも分けてやることだ。この後、他の子がこの屋敷へ来たなら、お前達には明日、お仕置きだ」
脅迫しているのがどちらか判らなくなるようなことを、一人一人と目を合わせながら言う。領主様の言い付けに、子供達は神妙に頷いた。
「ーーあ、さっきの…」
ふと、頭から白い布を被ったオバケの子がリオに気付いた。
「あー、耳が生えてる!」
「尻尾も!」
他の子供達も、ヴィンセントが抱きかかえている人物を興味を示し、口々に指摘する。
子供達は、当然リオの姿はウェアウルフの仮装だと判断した。
小さい手が無遠慮に伸び、マントから覗いた尻尾に触れる。
「ん…っ!」
びくん、と躰を震わせ尻尾を跳ね上げたリオに、ヴィンセントは微笑し、子供達に言った。
「これからは大人の時間だ。ーー帰りなさい」
その緋色の睛が煌めくと、
「………はー、い…」
先程までと打って変わってぼんやりした表情になった子供達は、ふらりと踵を返した。
「…帰…ろ……」
ヴィンセントが門扉を閉じたが、子供達は振り返りもしなかった。
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