第4章 夜はほんとに危ないから。
歩美side
『み、見失った……』
この暗闇の中、人を見失わずに追うことが出来るヤツとかいんの?
『ってか、ここどこ……。』
高杉晋助はもう諦めるしかないのかな…。
くそ…。
私がもっとしっかりしてたら……。
沖田隊長だったらどうしてたのかな…。
土方さんだったらどうしてたのかな…。
私は……。
何も出来なかった。
無力だ。
そんな自分が情けなく思い、悲しく思う。
『情けないな……。』
暗闇の中ボソッと呟く私。
弱音くらい暗闇の中にでも吐かせて。
暗闇の中ならいいでしょ。
ちょっとくらい許して。
私は自分に言い聞かせてボソボソと言う。
『私だから…逃したんだよ……。』
『はぁ、ほんとに無力。』
『情けなすぎ、もうこれ帰りたくない。』
『でも会いたい人がいる。』
『それは誰?』
『わからない。』
『ううん、分かってるよ。』
『わからないふりをしていたの。』
『それはね』
ひとりで誰かと喋ってるように呟く。
私の会いたい人。
『会いたいな……って言うか…戻りたいな…』
ここどこ…ほんとに……。
暗闇の中迷子になるとか私絶対運ついてない。
お願い、助けてください。
沖田隊長……。
ガサガサ
『!?』
物音がする。
沖田隊長!?
助けに来てくれたのかな…
胸がきゅうっと苦しくなる。
『おき……』
男A「おっ、こんなところに女がいるぜ?」
え……
男B「ホントダァ、しかもまぁええ女だぜ。」
やだ……。
ほんとに…怖い……。
私は一歩後退りをする。
今の私には刀が抜けない…。
足もガクガク震えている。
怖い。
初めてそう思った。
男B「まぁぺったんこやけど、ちょっと遊ぼうか。」
男二人は私の体に馴れ馴れしく触れる。
『いや……っ…』
男A「何が嫌だ、お、こいつなんか真撰組の隊服着てるぜ?」
男B「どっかのコスプレやろ、はやく脱がすで。」
男二人は私の上着をそっととる。
抵抗ができない。
沖田隊長が貸してくれた上着が奪われた。
いやだ、返して
『返してっ!!!!!』
その上着だけは…お願い。
沖田隊長が貸してくれたの。
嬉しかったの。
男B「なっ!?」
私は上着に飛び付く。
男A「こいつっ!!!」
男Aは私に飛び付く。
『いやぁっ!!!!』