第1章 始まりは突然に
「絶対あんな人付き合えないな……」
「何が付き合えないって?」
「ひゃっ! ぇ? クロ? 早くない??」
「スポーツ男子ナメんな。てか先行ってたんじゃねーの?」
「今凄いの見ちゃったの!!」
私は目的の複合施設までの間に、クロに今見た一部始終を事細かに力説した。
「……で、絶対あんな人とは付き合えないなって所に至りました」
「は真面目過ぎんだよ」
「うぁっ、ちょっ! ボサボサになる!」
ケラケラと笑いながら頭をワシャワシャするクロからは、嗅ぎなれない香りがした。
「クロとは違って、私はバージンロードをちゃんとバージンで歩くんです」
「どういう意味だよ」
「そのままです!」