第2章 主に従いなさい
卯月は持っていた剣を地面に置くと真っ直ぐ薬研へと足を進めた
薬研「は?どういうつもりだ」
突拍子もない行動に、薬研は眉間にシワを寄せて睨みつけた
卯月『ん?薬研は優しいから丸腰の女の子に手を出すなんてことしないと思って』
手が触れる距離で立ち止まりにっこり微笑んだ
薬研「・・・ズルイな・・・わかった、俺の負けだ。いくら勝負とはいえそんな卑怯な真似出来ねぇしな。けどこれは、俺を試した大将が悪い』
薬研はしばらく卯月を睨んでいたが、諦めたように大きなため息を吐くと本体を鞘に戻した
そして・・・
卯月『は?何?』
一歩近づいてきた薬研に、腰に手を回され引き寄せられる
顎に手をかけられたと同時に唇に柔らかなものが触れた・・・
卯月『・・・!!』
薬研「ん・・・これでチャラにしとく。どうした大将、顔が真っ赤だぜ?まさか・・・初めてなのか?」
卯月『///・・・そ、そんなわけ・・・あれ?なんで、涙が・・・』
唇に触れたのは薬研の唇
初めてだった・・・
ファーストキスは大好きな人と特別な日に特別な場所で・・・
悔しくて、拭いても拭いても涙は止まらなくて
薬研「あー悪い。そんなに泣かないでくれ。まさか初めてだったとは・・・」
突然泣き出した卯月に、薬研はどうしていいのかわからなくて、ただ抱きしめたまま髪を優しく撫でることしか出来ないでいた