第1章 ~ATOBE KEIGO~
「なぁ…もう一度言えよ」
「もう一度って?」
「嫌いにならないでって言ったその後の言葉だ。俺に向かって呟いてただろ」
「……………ぁ…」
暫く考えていたは、その言葉を思い出すと赤く頬を染めた
「き、聞こえてたの!?」
「まあな」
「酷いっ!!!聞こえてたのに無視するなんて…」
「おいおい、それはさっき詫びただろうが」
「だからって…」
「聞こえてきたんだからしょうがねぇだろう」
「っ…………」
の手を握ると、は更に頬を染め睫毛を伏せた
「いい加減、観念しろ…」
自分でも驚くくらい甘い声が出る
その声にゆっくり顔を上げたは瞳を震わせながら俺を見つめた
「好き…」
「っ……」
その言葉に一気に熱が湧き上がる
そして柄にもなく嬉しさが抑えきれない
「景吾の弱い所も全部受け止める。私を護ってくれたように私も景吾を護るから……私のモノになって…」
「!!」
跡部くんの彼女になりたいなぁ
跡部様は皆のモノなのに
今まで受身でしか言われたコトのない言葉
それは俺を苛立たせ、気分を悪くするモノでしかなかったのに…
(私のモノか…どこまで勝気なんだか)
俺は喉で笑うと、自然と笑みを零した
「いいぜ。なってやるよ」
「……ホント俺様」
そう言いながらもは嬉しそうに笑った
「…ねぇ景吾」
「アーン?何だ」
「抱きついて…いい?」
「!!(コイツ…この状況解ってんのか?今の俺は上半身裸で…)ハァ…勝手にしろ」
甘えるような表情に煽られ溜息を付きつつも許可すると、は嬉しそうに頬を擦り寄せ抱きついてくる
(…………チッ…可愛いじゃねぇの…)
俺は小さく息を付き、優しくを抱き締め返した