第1章 ~ATOBE KEIGO~
委員会が終わり、いつもの様に近道で校舎脇を通る
すると校舎の端の窓に女生徒の影が見える
(もっと上手く隠れないとこっちから丸見え…)
気付いてないと思っているのかニヤニヤしながらこちらを見ている
(私が真下に来たら、また水でも掛けるんだろうな…)
単純…そう思い息を付くが、何だか避ける気が起きない
何かどうでもいいってゆーか…避けるのも面倒くさい
(いっそ水でも被ったらスッキリしないかな…)
そんなコトを考えながらボーッと歩いていると、不意にフワリと温かさに包まれその瞬間、バシャッと大きな水音が響いた
「大丈夫か」
顔を上げると…
「けい…ご…?」
景吾が私を抱き締めていて、髪からはポタポタと水滴が垂れている
「おいてめぇら…どういうつもりだ!?」
「あ…跡部様!?」
私に水が被らなかった為、逃げるのが遅れたのか女生徒達はまだ居て、景吾の存在に酷く驚いている
「こんなコトをしてタダじゃ済まさねぇ…一体どういうつもりだって聞いてんだメス猫共!!」
「ち、違うんです跡部様!!これは手が滑って…」
「つまんねぇ冗談言ってんじゃねぇよ…」
景吾の冷やかな声に段々と青ざめていく女生徒達
「そ…その子が跡部様に馴れ馴れしいから…跡部様は皆のモノなのに…」
「……いつ俺がてめぇらのモノになったよ…気分が悪い」
景吾の抱き締める腕に力が入る
「バカが…いいか!!コイツは俺が認めた唯一の女だ!!これ以上コイツに何かしたら許さねぇ!!!解ったら消えろっっ!!!」
「ひっ…すみませんっ!!!!!!」
女生徒達は怯えたようにバタバタと走り去っていった
庇ってくれた
護ってくれた
でもそれ以上に…
”コイツは俺が認めた唯一の女だ ”
その言葉に目頭が熱くなるのを感じて景吾のシャツに顔を埋めた