第1章 ~ATOBE KEIGO~
「なぁ…どうしたらいい」
ポツリと呟いた問いに返ってこない返事に痺れを切らした俺は忍足を見ると、忍足は目を丸くしたままこちらを見つめている
「何だよ」
「いや…あの跡部が人の意見を聞くやなんて…明日雪でも降るやないかと」
「降るか、明日は晴れだ」
「いやいや、そうやなくてやな…まぁでも嬉しいわ。跡部から相談されるやなんて滅多にあらへんし。せやなぁ…」
忍足は無駄に考える素振りを見せると笑みを浮かべる
「どうもせんでええんちゃう?」
「…あ?」
「せやからどうもせんで」
その言葉に俺はカッとなり、忍足の胸ぐらを掴む
「っ…何もしないって…何もしなかったからアイツはもっと酷い目にあったんじゃねえのか!?」
「解ってるやん」
忍足は口角を上げると俺の手を解いた
「なら思うようにしたらええんちゃう?俺の知っとる跡部はそういうヤツやねんけど」
「忍足…」
「あっでも無視とかそんなまどろっこしいんはナシやで?ちゃん可哀想やから
どうせ跡部のコトやからちゃんと喋らんくなれば女の子達も大人しくなるて思うたんやろうけど」
「………アイツが、が何も言ってこない以上何も出来ねぇだろうが」
「せやなぁ…で?自分誰なん?」
「アーン?」
「せやから自分は誰なんか聞いてんねん」
「…跡部景吾だ」
「せや 氷帝のキングやろ?」
「…ああ」
俺は口端を上げると笑みを濃くした
「出来るだけ早く仲直りしてや?じゃないと…獲ってまうで」
「忍足…てめぇ」
フッと挑発的に笑う忍足に俺はぞんざいにため息をついた
「誰にモノを言ってやがんだ。アーン?」
「…キング復活やな」
忍足は頷くと俺の肩をポンと叩き、部屋を出ていった
「忍足…礼を言う」
俺は席を立つと、生徒会室を後にした